財務計画・予算管理
事業の財務計画を策定し、予算を管理するためのガイドです。
概要
千葉経済産業新聞の財務計画は、CRMトランザクションデータを基にした実績分析と、将来予測を組み合わせて策定します。
1. 損益分岐点分析
損益分岐点の計算
固定費（月額）:
- 人件費（編集長・エディター・営業等）
- サーバー・ホスティング費
- オフィス賃料（該当する場合）
- ソフトウェアライセンス
変動費（1号あたり）:
- 印刷費（部数に比例）
- 発送費（部数に比例）
- 取材費（取材回数に比例）
- 執筆費（外部ライター）
- デザイン費
計算式:
損益分岐点協賛企業数 = 月間固定費 ÷ (ARPA - 1社あたり変動費)初年度想定:
- 固定費: 500,000円/月
- ARPA: 60,000円
- 1社あたり変動費: 35,000円（印刷・発送・取材費等）
- 損益分岐点: 20社
2. 年間予算策定
収益計画
協賛収益
協賛収益 = Σ(プラン別協賛企業数 × 月額料金) × 12ヶ月初年度目標:
- ライトプラン（30,000円）: 10社
- スタンダードプラン（50,000円）: 8社
- プレミアムプラン（100,000円）: 2社
- 年間協賛収益: 7,920,000円
購読収益
購読収益 = 法人購読収益 + 個人購読収益料金体系:
- 個人購読: 1,000円/部/号（税別）
- 法人購読: 1,000円/部/号（税別）
- 法人10部以上: 10%割引（実質単価 900円/部）
初年度目標:
- 個人購読: 10件 × 1,100円（税込）× 6号 = 66,000円/年
- 法人購読（10部未満）: 5社 × 平均5部 × 1,100円（税込）× 6号 = 165,000円/年
- 法人購読（10部以上）: 10社 × 平均15部 × 990円（税込）× 6号 = 891,000円/年
- 購読収益合計: 1,122,000円/年
その他収益
- イベント収益: 600,000円/年
- 受託（コンサルティング）: 500,000円/年
- その他収益合計: 1,100,000円/年
総収益
総収益 = 7,920,000 + 1,122,000 + 1,100,000 = 10,142,000円/年費用計画
固定費（年間）
- 人件費: 6,000,000円
- サーバー・ホスティング: 120,000円
- ソフトウェアライセンス: 60,000円
- 固定費合計: 6,180,000円/年
変動費（年間）
- 印刷費: 1,800,000円（600部×6号×@500円）
- 発送費: 600,000円（600部×6号×@166円）
- 取材費: 1,200,000円（120回×@10,000円）
- 執筆費（外部）: 300,000円
- デザイン費: 180,000円
- 変動費合計: 4,080,000円/年
総費用
総費用 = 6,180,000 + 4,080,000 = 10,260,000円/年損益計算
営業利益 = 総収益 - 総費用
= 9,500,000 - 10,260,000
= -760,000円/年（初年度）初年度は創刊費用・立ち上げコスト込みで赤字想定。 2年目目標：黒字化（協賛企業25社以上で達成）
3. 月次予算管理
月次予算表
| 項目 | 予算 | 実績 | 差異 | 達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 収益 | ||||
| 協賛料 | 660,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| 購読料 | 40,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| その他 | 91,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| 収益合計 | 791,000円 | - | - | - |
| 費用 | ||||
| 人件費 | 500,000円 | （固定） | 0円 | 100% |
| 印刷費 | 300,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| 発送費 | 100,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| 取材費 | 100,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| その他 | 55,000円 | （CRMから） | （計算） | （％） |
| 費用合計 | 1,055,000円 | - | - | - |
| 営業利益 | -264,000円 | - | - | - |
CRMデータの活用:
- ファイナンスダッシュボードで当月の実績を確認
- 収益・費用トランザクションをCSVエクスポート
- Excelの予算表に貼り付け
- 差異分析
4. 四半期レビュー
レビュー項目
Q1 レビュー（3月末）:
- 創刊号発行完了
- 協賛企業獲得状況
- 初期費用の確定
- 配布・反響の評価
Q2 レビュー（6月末）:
- 2号・3号発行完了
- 解約率の確認
- 取材・記事品質の評価
- 損益分岐点達成見込み
Q3 レビュー（9月末）:
- 年間発行計画の進捗
- 協賛企業数の目標達成度
- イベント収益の評価
Q4 レビュー（12月末）:
- 年間総括
- 次年度予算策定
- 料金プラン見直し検討
5. キャッシュフロー管理
入金サイクル
- 協賛料: 月初請求 → 当月末入金（想定）
- 購読料: 月初請求 → 当月末入金
- イベント: 事前入金
支払いサイクル
- 印刷費: 納品後30日以内
- 発送費: 月末締め翌月払い
- 取材費・執筆費: 月末締め翌月払い
- 人件費: 当月末払い
キャッシュフロー予測
要注意月:
- 創刊月: 印刷費・発送費の初期支出が大きい
- 年末: 年間一括払い協賛企業の更新タイミング
対策:
- 年間一括払いの推奨（10%割引でもキャッシュ確保優先）
- 予備資金の確保（最低3ヶ月分の運転資金）
6. 予算vs実績の分析
差異分析のポイント
収益が予算を下回る場合:
- 解約企業の発生 → 原因分析・改善策
- 新規獲得の遅れ → 営業活動強化
- 料金プラン変更（ダウングレード） → 顧客満足度調査
費用が予算を上回る場合:
- 印刷費: 部数増加？単価上昇？
- 取材費: 回数増加？遠方取材？
- その他: イレギュラーな支出の特定
7. シナリオプランニング
ベストケース
- 協賛企業25社達成
- 解約率3%
- 年間営業利益: +500,000円
ベースケース（計画）
- 協賛企業20社達成
- 解約率5%
- 年間営業利益: -760,000円
ワーストケース
- 協賛企業15社
- 解約率10%
- 年間営業利益: -2,000,000円
リスクヘッジ:
- ワーストケースでも2年目に黒字化できる見通しを維持
- 追加資金調達の準備（必要に応じて）
8. 次年度予算策定
2年目目標
- 協賛企業: 25社（+5社）
- 発行: 年12回（月刊化）
- 黒字化達成
予算編成タイムライン
- 9月: 次年度予算策定開始
- 10月: 収益・費用計画ドラフト
- 11月: 経営陣レビュー・調整
- 12月: 次年度予算確定
CRMデータの活用
予算策定に必要なデータ
収益予測:
費用予測:
- ファイナンストランザクションで過去の実績を分析
- 発行計画から印刷・発送費を見積もり
- 取材計画から取材費を見積もり